公益財団法人アタラクシア みやぎ霊園

ご使用家インタビュー

国内外で精力的に作品を発表する仙台市出身のアーティスト、佐々木香菜子さん。

2023年1月にお母様が他界され、みやぎ霊園の有期限墓地をお求めになりました。
ご家族が眠る場として、有期限墓地を選択した理由を伺いました。

私の原点であり、
尊敬する母の気持ちを汲んだ
お墓選びができました。

アーティスト
佐々木香菜子
Kanako Sasaki

1983年、仙台市生まれ。東北工業大学工業意匠学科卒業。

22歳からイラストレーターとしてキャリアをスタートし、ファッションを主軸に広告ビジュアルや商品パッケージ、企業とのコラボレーションを数多く手がける。近年は作家としての活動にシフトし、海外のアートフェアにも精力的に参加。国内のみならず海外のアートコレクターからも注目を集める。ライブペイントにも力を入れ、ユニークなシチュエーションでアート作品を完成させ、話題を呼ぶ。

仙台に暮らしていた頃の
思い出を教えてください

私は現在結婚して夫と東京に住んでいますが、東北工業大学を卒業するまでは仙台市内で父、母、妹と4人で暮らしていました。

私が小さい頃から、母はイラストレーターとして活躍していました。家には母が使う画材がたくさん揃っていたので、私はそれを使って、母をまねて絵を描いたり創作して遊んだりしていましたね。

また仙台に暮らしていた多感な時期に、ご近所や学校でたくさんの人と出会いました。いろいろなタイプの人と触れ合って多様な感情が生まれて、その感情と真剣に向き合ってきました。当時の記憶や経験が、今の作家活動に大きく響いていると感じています。

作品を創る時、
お母様の影響は大きいですか?

私の作品には「青」を使ったものが多いんです。なぜだろうと思った時に、私には「母の子宮の中は青かった」というイメージがすごくあって。物心ついた時点から母に褒められたい、認められたいという意識が、今の「青」という色への執着として表れているのではないかと考えています。

その「青」をテーマに、
初の地元凱旋となる個展を
2022年に開催されました

両親に生で作品を見てもらう機会がなかったので、ずっと見てもらいたいと思っていました。実際に個展で作品を見てもらって、言葉少なだけれど母から感想をもらってから、私の中に「執着の青」から「自分で生み出していく青」にしていきたいという想いが芽生えました。その時を境に、私の作品の「青」が変わっていきました。透明感のある「青」になったというか、気持ちは新たな出発というか。それぐらい、インパクトのある出来事でしたね。

またこの個展からご縁が結ばれて、仙台三越90周年記念のメインプロジェクトとしてオリジナル作品を提供させていただいたり、全国都市緑化仙台フェアでライブペイントを実施することにもなりました。私の人生の土台を築いてくれた仙台で、作品を通して何か貢献できないかとずっと思ってきたので、願いが叶うきっかけになったこの個展は私にとって大きなターニングポイントになりました。

佐々木香菜子様の作品

未来にも選択肢がある有期限墓地なら
承継に関する不安が軽減できます。

個展の開催後に、
残念ながらお母様がご逝去されました

闘病していたのですが、2023年の年頭に他界しました。母が他界した後、佐々木家のお墓が必要になったのですが、父方のお墓は車などの移動手段がないと行けない遠方にあるんです。

それで母方のお墓があって、行き慣れているみやぎ霊園に新たにお墓を求めようということになりました。

みやぎ霊園には
どんな印象をお持ちですか

小さい頃からお墓参りといえばみやぎ霊園で、親族のみんなが集まって心がひとつになる場所、という印象がありました。おじいちゃんやおばあちゃんにお線香をあげてから、墓前でおにぎりを食べたりお茶を飲んだりしながら、かわいがってもらったことを思い出したり、親族といろいろな思い出話をしたりしました。そんなふうにお墓でおしゃべりしながらゆっくり過ごすことができるのは、みやぎ霊園に明るい雰囲気があるからだと思います。

有期限墓地を選ばれた理由は?

父が選び、家族で合意して有期限墓地にしました。一番の理由は、お墓の承継が可能かどうか、不安があったからです。私は結婚して佐々木姓ではないので、お墓を守っていく立場ではなくなっています。妹も東京在住で、今後結婚したら相手の姓になるかもしれません。そうした中で、私たち以降の世代までお墓を守れるのだろうか、また私たち姉妹が高齢になった時にお墓にお参りすることが難しくなるのではないか、という心配があって、それを解消するために使用期限があるかたちでお墓を持つことにしました。

将来のことを考えて
有期限にされたのですね

使用期間は30年としましたが、実はその後も継続して使用したいという希望を出せば延長が可能で、私がお墓を継続できる権利を持っています。30年後に使用期間を延長するか、それとも改葬するか、未来に選択肢があるというのも有期限墓地を選んだ大きなポイントだと思います。未来のことはなかなか予想できないこともありますけど、お墓参りできる場はすごく大事だと思っているので、30年後に継続できるようなら延長も選択できるのかなと思っています。

みやぎ霊園の有期限墓地「夫婦百年(ももとせ)の墓」
(写真は個別型第3期既存区画)

お墓の区画はどのように選びましたか?

とても眺めが良くて、近くに桜の木がある場所です。母は景色が良いところが好きで桜も好きだったので、「ここはどうかな」と父が見つけてきて。私たちもすごく良いと思うと賛成して、すぐに決まりました。

園内には母の両親や兄のお墓と、姉夫婦が生前購入している樹木葬のお墓があって、その2つのお墓のちょうど真ん中くらいの距離に母のお墓があるんです。母は母の家族と仲が良かったから、みんなとお墓が近くならきっと母も寂しくならないだろう、という父の計らいもありました。母の気持ちを汲んだ、良いお墓選びができたと思います。

最後に、佐々木さんがアーティストとして
みやぎ霊園から感じるインスピレーションを教えてください

私の作品は「思考を止めない」ことをテーマのひとつに掲げていますが、みやぎ霊園に来るとそのテーマに通じるものを感じます。故人に思いを馳せて心を動かすこと、懐かしい日々を思い返して湧き立つ感情が、次の作品を創作する糧になっていくと感じています。

あとはやっぱり、みやぎ霊園は本当に景色が良いんですよね。遠くまで雄大な山々を見晴らせて、近くを見れば季節の花が咲いています。私の日常ではなかなか見られない光景ですね。そんな場所で深呼吸をすると、入った空気が体を巡って浄化されるような気持ちになれます。私にとってみやぎ霊園は、刺激も安らぎも両方与えてくれる場所ですね。

取材・撮影日:2023年4月
協力:クレプスキュール・カフェ仙台メディアテーク